身近な日用品や自動車・カメラなど、プレス加工によってさまざまな分野の製品が大量生産されていますが、そのプレス加工に欠かせない部品が「プレス金型」です。
金型を使用すれば、わずか数秒で製品が作れ大量生産することで商品1つあたりにかかるコストを抑えられます。
しかし大量といっても工業製品の場合100個や200個といった単位では「それを大量」とはいえずコストを抑えることはできません。
今回は制作する部品数の目途や、コストを含めたプレス金型の相場や見積もり・計算方法をご紹介いたします。
プレス金型の相場
金型を初めて製作しようする時は「予算をいくらにすればいいのか」「相場はどれくらいなのか」など、分からないことが多いでしょう。
しかし、分からないからと言って「200万～300万円くらいかかるかも？」とざっくり過ぎる曖昧な予算をたててしまうことはあまりにも危険すぎます。
予算の上限額で提案されたり、せっかく金型を製作するのにコストダウンに繋がらなかったり最終的な打ち合わせ時に意見のズレが生じたりする可能性があるからです。
金型の相場は、以下の項目が明確になって初めて算出できるようになります。
金型の相場算出に必要な項目
予算を出す時には、明確な金額（予算）を伝える必要がありますが、一方的に金額だけをプレス加工メーカーに伝えてもそれはあまりにも乱暴すぎるというものです。
見積りを出す際に最低限必要な主な項目は以下の通りです。
・製品形状
・サイズ
・材質
・個数
・要求される精度
・納期
製品の形状が複雑であったりサイズが大きかったりすると、見積り金額も上るケースも多いので、使う素材を変えたり要求精度を下げる、納期に余裕を持たすなど見直しを行えば見積り額が下げるケースもあります。
金型の見積の精度がどういった観点から差が出る？
金型の見積もりはプレス製品から金型の形状や状態を予測して見積り金額を積算する計算法をとります。
高い精度の見積もりは、金型になった状態から材料費や外注費など必要な要素それぞれが明確なった時点で、それを合計した金額になります。
逆に、早い段階での概算見積りや、スピードが要求される短納期での見積もりは、製品形状を示す図面だけの情報しかない場合も多く金型の状態を予測して出されたどうしてもブレの大きなものになってしまいます。
最近では、かかった費用を後から請求する高い精度の「後見積もり」よりも、素早い見積もりである「事前見積もり」が主流ですが、素早い見積もりであっても、明確な予算と明確な図面やデータなどを伝えておけば、より精度の高い見積もりになります。
金型の見積方法
金型の見積もり方法ついてそれぞれ紹介します。
比較法
以前に作成した金型の中から、類似しているものを探して比較し、その違いを加算したり減算したりして補正する見積もり法です。比較法は最も多く使われている手法になります。
分類法
以前に作成した金型の中から、製品の機能によって分類・比較して出す見積もり法です。
分類法は分類するレベルが鍵となるため、大まかな分類だと精度の高い見積もりを出すことが困難になります。
詳細分析法
必要な全ての作業を分解し、各作業にかかる時間を算定した基本時間にそれぞれの工程の加工費率を掛け、最後に全ての材料費を加えて出す見積もり法です。加工費率とは、単位時間当たりの加工費です。
詳細分析法で見積もりを出す場合、製品設計が終了していなければなりません。
標準資料法
詳細分析法よりも作業の分類が大きい見積もり法です。そのため、見積り作業に必要な工数が詳細分析法よりも少なくて済む利点があります。
統計計算方式
製品から読み取った情報を変数として計算式を作る、統計手法を使った方法です。最も素早い見積もり手法ですが、精度を高めるためにはその分、多くの金型サンプルが求められます。
積算方式
材料費や購入部品費、工賃などを合計する計算法です。高い精度で見積もる場合は、CADを使用してレイアウトを作図し金型構造をレイアウトして積算します。
簡単な見積もりの場合は、金型のポンチ図などを描きます。
金型の見積ソフト
金型の見積もりは、ソフトを使うことで見積作成にかかるコストや時間を大幅に下げることができます。
ソフトウェアには以下のようにいくつか種類がありますので、ソフトを利用する場合には自社にあった使いやすいソフトを選ぶようにしましょう。
[参考例]
・金型見積システム ESTIMATE for MOLD/PRESS
・AutoForm-CostEstimator
ぜひお気軽にご相談、お問い合わせください
川田製作所では、3,000種以上の加工経験を活かし、試作から量産まで幅広い対応を得意としたプレス加工メーカーです。
お客様が欲しい部品の形状・数量・ご予算・納期などをお聞かせいただき、お客様にとってよりよい加工方法を用いて製品をご提供できればと考えております。
小さなことでも、ぜひお気軽にご相談、お問い合わせください。お待ちしております。
