プレス加工で「せん断加工」を行う際に一番気を付けなければいけないのは「バリ」です。
「バリ」とは金属の板に圧力をかけて打ち抜いたり、切ったり(せん断)した際に、切断面に角が残り鋭い突起がでる現象のこと。
この記事ではプレス加工の大敵「バリ」について分かり易く解説します。
プレス加工で「バリ」が発生するのはなぜ?
バリを無くすためにはバリの起こる原因を知ることが大切です。
「せん断加工」ではパンチを最後まで押し切ることで金属の板をせん断することができます。バリの多くはこの「せん断加工」の段階で発生します。
このパンチを押し切る際に、金属の板が塑性変形(角が残る現象)を起こし、引き伸ばされた部分が突起(バリ)となるのです。
バリに気づかず出荷してしまうと、不良品として扱われてしまうことはもちろん自社の従業員含め、お取引先のお客様や最終的に部品を手にしたお客様の手を傷つけて切ってしまう危険があります。
万が一、出荷後に購入したお客さまが怪我してしまった場合、製造物責任法により損害賠償責任を負わなければいけないケースもでてくる可能性もあり、バリは発生させないように十分に注意することはもちろん検品も慎重に行うことが重要です。
特に「糸バリ」と呼ばれる細いバリは、気づきにくく見落としがちですので、細部まで丁寧に確認することでバリによる問題の発生を防ぐことができます。
バリの種類
バリの多くはせん断加工の際に発生しますが、せん断加工以外の加工方法においても発生することがあります。
バリは加工方法ごとに「切削加工のバリ」「プレス加工のバリ」「鋳造・鍛造・射出成型のバリ」の3種類に分けられ、以下にそれぞれのバリに起こる原因と対策をご紹介します。
切削加工のバリ
せん断加工中に発生するバリのことで、被加工物に塑性変形が起こりバリが生じます。切削加工のバリを防ぐためには、切り込みの量を減らしたり、製品の端にダミーの材料を当てるなどの対策が必要です。
プレス加工のバリ
パンチが被加工材に食い込む際、パンチとダイの隙間が広すぎる、または狭すぎることで発生します。パンチとダイの隙間を適正にすればバリの発生を防げます。
鋳造・鍛造・射出成型のバリ
金型と金型の隙間に被加工材が流れてしまった結果、バリが発生します。鋳造・鍛造・射出成型のバリは、製品の機能上問題のないところにあらかじめ設計することで防ぐことができます。なお鋳造・鍛造・射出成型のバリはパーティングラインとも呼びます。
バリが発生したらバリ取りで除去しよう
どんなに注意していてもバリが発生することもあります。その場合には、バリが発生してしまった場合はバリ取りで除去してから出荷することが必須です。
バリ取りには「機械加工法」「砥粒(とりゅう)加工法」「熱的加工法」「化学加工法」「電気化学的加工法」の5種類があります。
ここからは、5種類のバリ取り法について解説します。
機械加工法
機械加工法は主に「ボール盤またはフライス盤」「手仕上げ用の道具」「ブラシ」を使用する3種類の方法があります。お手持ちの道具の使用や、スムーズにバリ取りができる方法で行いましょう。
砥粒(とりゅう)加工法
砥粒加工には気流で砥粒を吹きかける「砥粒ジェット」と、砥粒を被加工材に当ててバリを流動させる「砥粒流動」そして、容器の中に製品と砥粒を入れて一度かき回しながら切削する「バレル研磨」などがあります。糸バリなどバリが細かい場合はバレル研磨が効果的です。
熱的加工法
熱的加工法はバリだけを除去する加熱除去と、バリに通電させる発熱除去の2種類があります。
加熱除去は火炎やプラズマを利用して、バリのみを除去する方法です。一方、発熱除去はバリの部分に通電し、電気抵抗で熱を起こして除去する方法です。
化学加工法
科学的研磨で除去する方法で、科学薬品でバリを溶かします。
電気化学的加工
電気化学的加工には電解研磨・遠心バレル・スピンドル仕上げなどがあり主に用いられる加工は電気研磨法です。電気研磨法は電解液の中に研磨パーツを入れ、電解液を上下に揺らしながら通電する方法です。
ぜひお気軽にご相談、お問い合わせください
川田製作所では、3,000種以上の加工経験を活かし、試作から量産まで幅広い対応を得意としたプレス加工メーカーです。
お客様が欲しい部品の形状・数量・ご予算・納期などをお聞かせいただき、お客様にとってよりよい加工方法を用いて製品をご提供できればと考えております。
小さなことでも、ぜひお気軽にご相談、お問い合わせください。お待ちしております。